蔵屋敷が並び川を行き交う船が色々な物産を運んできてにぎわっていた。
その面影を今も僅かながら残しているがほとんどの家並みは新しくなっ
ている。しかし、住んでいる人は「なにわ気質」の人情熱き人が多い。
街の区画には昔の名残の路地があちこちにある。
その路地裏にひっそりと住み着いている野良猫が数匹いる。
普通は野良猫は嫌われる存在であるがここでは違う。
毎夜、猫に食事を用意して軒先に置く。
猫の餌と言えば昔は人間の食べたご飯の残り物というのが
相場であったがここでは野良猫のためにペットフード、
ソーセージ、ちくわ等々を買ってきて与えるのだ。
本当に幸せな猫たちだ。
そんな猫たちの中に白黒の猫が一匹いた。
かわいいということはないのだが何となく気になる存在、
だんだんと慣れてきて呼ぶと走って近づいてくる。
他にも野良猫はいるのだがこの猫に人気が集中、
出勤前に餌を与える人、勤め帰りに見に来る人と
多くのファンがいた。
そのクロが昨年暮れより体調を崩していた。
今までにもあったのだが今回は寒さも手伝ってかどんどん
衰弱していった。ほとんど1日中寝ているのだが
年あけて1/2と1/3は昼の間外出していた。
夜見るとぐったりと疲れて寝ている。
呼んでも目を細く開けるだけでじっとしている。
1/3の夜は全く反応しなかったが体を触ると少し動いた。
そして1/4朝10時30分頃見に行くとすでに死んでいた。
駐車場の片隅でエアコンと柱の間の狭いところを住処と
していたので死体を出すのに苦労したがなんとか出すことが
でき市の処理担当局に依頼をして処理してもらった。
街のアイドル「クロ」安らかに眠り給え!
2010/5/14
2010/11/4
死体を取り出したところ、「さよなら」と手を振っているようだ
写真はありませんが真新しいサラシにくるんで送り出しました。
市役所の担当部署も直ぐに対応してくれ、予定時間よりも
早く引き取ってもらえました。従ってクロの悲しい姿もほとんど
人目に触れないまま火葬場へと運ばれて行きました。
翌1/5 「クロ」ファンのメッセージ
袋の中に写真を7枚入れておきました。
1/5朝10時過ぎ花を生けた花瓶が一つ、
11時過ぎに再度見ると花瓶が一つ増えていた